保険会社が破綻したときの保護について

2023年06月12日

 保険会社は民間企業なので経営が行き詰まると破綻します。株式会社は間接有限責任制度を採用しているので会社の社員は出資の額を限度に責任を負いますが、それ以上の金額については責任を負いません。したがって保険会社に株式会社の原則的ルールを適用すると保険契約者が不測の損害を被る恐れがあります。

 そこで保険契約者保護機構が保険会社破綻後の保険事故に係る保険金をある程度補償することで保険契約者の利益を保護し、保険制度の信頼性を担保しています。ここでは保険契約者がどこまで保護されるかについてみていきます。

生命保険の補償額

 生命保険契約については、次の範囲が保護の対象となります。

・国内の元受保険契約。国内の生命保険会社で加入した外貨建て生命保険は生命保険契約者保護制度による補償対象となります。

・運用実績連動型保険契約の特定特別勘定部分以外。最低保証のない保険契約の特別勘定部分は保護の対象外です。

 保護される責任準備金は次の範囲です。

・破綻時点の責任準備金の90%。但し高予定利率契約部分、すなわち破綻時に過去5年間で常に予定利率が基礎利率を超えていた契約については保護されません。補償率の計算式は次のとおりです。

 補償率=90% - (過去5年の超過利率×1/2)

損害保険の補償額

 損害保険の補償額は火災保険、地震保険など保険の種類ごとに異なります。また保険事故発生時の保険金と満期保険金、解約返戻金によっても保護される割合が異なります。具体的には次の表のとおりです。